お母さんが死んだ時
兄弟の中で兄貴だけが泣いていた

――――誰も
いないところで泣いていた

俺はというと
よくわからなかった
というのと
何か感じるので
淋しかったけど
大丈夫だった

勇歌はほんとに
わからなかったと思う


目を赤くして
式の日 段取りを
手伝う兄貴は

いつもの乱暴な兄貴と
違っていた

かなしい とか
さみしい とか
そういうのを
抑えこんで