お母さんが死んだ時 兄弟の中で兄貴だけが泣いていた ――――誰も いないところで泣いていた
俺はというと よくわからなかった というのと 何か感じるので 淋しかったけど 大丈夫だった 勇歌はほんとに わからなかったと思う 目を赤くして 式の日 段取りを 手伝う兄貴は いつもの乱暴な兄貴と 違っていた かなしい とか さみしい とか そういうのを 抑えこんで