※現代パラレル物です。それを了承する方、読んでくださいです。如月深雪拝※



RamdomSchool

RainyDay






 ばしゃーっと窓に雨が打ちつける音を聞いていた。
 滝のように流れ落ちる雨は、風にあおられて激しさを増していた。
 6時間目のあった中等部2年生以上の生徒達が影響を受けて、下校前に教室で缶詰になっていた。
「部活も無いってさー。電車が止まったから帰るようにって」
 クラスメイトの高野が戻ってきて教室の皆に言った。
 それぞれの応答が帰ってくる。
「それって、帰れないじゃん。」
「その前に何で帰るか、よ」
「止むかな。」
「濡れるのを覚悟するか?。」
 自転車組も徒歩組もバス・電車組も、動くに動けない。
 携帯であわただしく調べている女子が、また呟く。
「警報が発令されたよー。どおする?。」
 えええと喚声が上がる。
「ほんとにどうやって帰ろうっかな。どうする?、安倍。」
 高野が机の側にやってくる。
「うーん。どうしようっか。ジャージに着替えて、傘で帰るかなとか考えてるんだけど。」
「あ、つっこむんだ?。」
 豪雨にだ
「俺もそうしよっかな。」
「しばらく止まないと思うし。」
 濡れることに躊躇いどころか、盛大に水で遊べる大義名分を得たようなものだ。
 教室で缶詰になるのも良し。放課後を長くしてくれる。
「もう少し小康状態になったら行こうか。」
 高野に提案された。
 昌浩は頷いた。
「図書館に本だけ返してくるよ。」
「あ、わかった。俺はもう少し先生に聞いてくる。電車の状況。」
 昌浩は頷いてカバンを置いておくことにして、今日授業で使った本を取った。




 雨に閉じ込められた学校というのはまた違う顔を持つ。
 普段はまだまだ明るい時分の、蛍光灯のついてない渡り廊下は、こんな雨に降られると異様に暗い。
 そこを抜けて図書館に行く。
 生徒は下校に忙しくて、まばらだった。
 昌浩はカウンターに行く。
「これ、ありがとうございました。」
 所蔵とは別の教材用の棚から持ち出したものだ。
 その棚に戻すように言われて、奥の書棚に向かう。
「・・・。」
 彰子がいた。
 蔵書検索の端末の前に座っていた。
「彰子。」
 呼んだら驚いてこちらを見た。
「昌浩。」
「残ってたんだ。」
「あ、うん。」
 少しだけばつの悪い顔をした。
「ちょっと本を読んでいたの。」
 降られちゃったと窓の外を見た。
 彰子が端末に座っていたので昌浩はそのまま奥の書棚に向かい本を片付ける。
 彰子が後ろから来た。
 目的の本のカードを持って。
「借りるの?。」
「ううん。読んでいこうと思って。お父さんが迎えに来てくれるって。」
「あ、そうなんだ。」
「昌浩も一緒に帰る?。」
「いや。みんなと」
「あ、うん。わかった。」
 彰子の持っているカードを覗き込む。
 この場所から近くだ。
 それだけ探すのを手伝って、帰ろうと思う。
 雨がざーっと打ち付ける。
 しんとした図書館に強い雨の音は、静けさを助長する。
 まるで閉じ込められているような感覚だ。
 雨で温度の下がった室内の、肩越し温もりが、
 それも悪くないなと思わせた。





 自転車組がはやばやと雨の中を出て行く。
 学校指定のレインコートに、カバンを雨から守るビニールカバー。
 置き傘のみの今の自分たちからすれば無敵の装備だ。
「俺、宿題だけいれてきたけど濡れるよな。」
「それも多めに見てくれんじゃねー?。」
 高野と昌浩は顔を見合わせる。
「最近の雨は下手に出て行くと水難事故になりかねないからなぁ。」
「そーだね。」
 その件で走り回っている神将がいる。
 今日もこの雨の中出ているのだろう。
 早く帰って手伝ったほうがいいかもしれない。
「よし。」
 紅蓮が既に労っているだろうけれど。
 覚悟を決めて他のクラスメイトにも目配せをして走り出す。
 とりあえず、近くのコンビにまで。
 中継を経て、駅まで。





END
[08/08/31]

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−Comment−

さらさらと。隙間時間で。
実は試験勉強中。
成せばなる
成さねばならぬ
なにごとも
成さぬは
人の成さぬなりけり
大好き上杉廬山〜。
ついでに筒井君の廬山が好きだったかも〜。


私は雨が結構好きです。
雨女ですから。

本編雨が結構どしゃぶりなので、
そうじゃない雨が実は書きたくてしょうがない。
そんな感じで書き出し。






拍手にてメモのまま↓


空ろな空

君は、そうして、行ってしまうのだ。
うつむかず、泣きもせず、真っ直ぐに
大丈夫と、微笑んで。
ひらりと自由と言う羽根をはばたかせて。

入内する時も、
土御門に行く時も、
こうして今度の伊勢も。

そうするしかない自分は本当に無力だった。

戦う力を欲してもがけば、足をとられてぬかるみにはまって行くようだった。
危険な自分を、閉じ込めて、暗い部屋に膝を抱え込めば更なる深みに落ちていく。


君が行ってしまう。
空ろな空を、
深みから見上げているようだった。


-―――――――――――


両刃


二人に共通するのは、隠さなければならないことだ。
彼らの存在を。
だから誰も知らない。
彼らがどれだけ言葉を飲み込み、その身を傷つけ、泣いてきたか。
認めさせてやりたくとも、それを望まないのも、また二人だった。

彰子を護れないと言った昌浩は半分当たっていて、半分は間違っている。
丞安から護ったのは間違いなく昌浩で、だが同時に暴走した。
昌浩から離れた方がいい、それも半分は間違っていて半分は当たっている。
暴走させたのは彰子で、そしてそれを押さえたのも彰子。

両刃の二人。
近寄れば今は傷つき、傷つけられる。
炎のような熱い刃に、
もしくは氷の刃で。

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2008/6/1
新刊感想文をさらっと。
もう少し訂正入るかなー。