天井いつもの見慣れた天井がそこにあった。 否、この安倍の家に来てまだ一年も経っていないから、見慣れたというには少し早い。 けれど、 昌浩も私も帰ると言った場所だった。 晴明はおだやかに笑って、今しばしは静養だけを考えてくださいと言った。 自分もそう思う。 情報も錯綜している。事態について考えるのはもう少し後でもいい。 だから身に降りかかった出雲での出来事を一から思い出してみる。 ちゃんと覚えておいて、問われたときに参考になるように。 「・・・・。」 そう思ったところで彰子は自身に半眼を向けた。 思い出すのが怖いとか、普通は考えそうなものだ。 一から思い出そうなんて・・自分は刺されたのに。 でも不思議と怖いというより、生き延びれたことがちょっと誇らしい。 髪を切ってまで逃げ落ちて、 そして昌浩を庇えたことが何よりも。 「(身を賭せる。)」 危機に陥ったときに自分は動けなくなるような人間ではないのだと。 こんなこと誰にも言わないけれど・・・。 思いつつ、訂正する。 「(もっくんには言っちゃうかもだけど。)」 そして怒られるのだ。 だいぶ見慣れた天井を眺める。 そう・・一年も経っていないうちに、いろんな目に会った。 安倍の家は普通と違う。次元が違う。 自分が土くれになるなんて誰が想像するだろう。 三条邸にいるのとでは考えられない命がけなことが続いている気もする。 父も想像していないだろう。 安穏と守られていると思っているかもしれない。 けれど私を守るというのはどうにも大変なことらしい。 安倍は大変な荷物を背負ってしまっている。 申し訳なさで胸がいっぱいになる。 でも私も動けたのだ。 ぎりぎりのところで動いて守れるのだ。 それに、不思議なことが不思議ではなく現実に見えるなら、私はこの異次元にいてもいいのかもしれない。 たとえ足手まといでも、女御でいるより、役に立つことが、多い。 政治の道具より、役に立つ人でありたい。 絶対に。 怖かったという相手はいくらでもいる。神将たちは聞いてくれるだろう。 でも、やっぱり物の怪に聞いてもらおうかなと思う。 天井を見る。 刺された感触より、その生々しさがあれが戦場であることを伝えた。 そう、 昌浩はあんなところでいつも命のやり取りをしているのだ。 END [07/7/2] #小路Novelに戻る# −Comment− 果てなき誓いの感想文でした。 もう少し補正するかもですが勢いで文章をたったかたーと。 それにしても心臓に悪い! 好きな子が貫かれるのは、るろうに剣心の薫再来。 結城先生ってば、彰子が土くれなのをいいことに、全部のことをやってくれましたね!。 髪を切るだけでなく、昌浩をかばっちゃうんですよっ。 しかも引き倒してっ。 うおっ。彰子強すぎっ。 アニメムック> 遅ればせながら。(だって近所になかったんだもん) 久しぶりにムックを買ったら、いやー昔に比べてなんて詳しい。 高校生やってたら同時にこれを眺めながら日本史資料集読んじゃうよ。 美術や風俗がすごいリアル。アニメカラーだから資料集みたいにぼやけた色じゃない。 だから本当にわかりやすい。 呪文についてこんなにこまかく書いてあるとは。 史実についても。 大体知ってはいても、それが少年陰陽師にリンクするかどうかはわからなかったので。 敦康親王と彰子の関係にも触れられていて、これはかなり賢い本だと思いました。 身長は。へーと思った。 とりあえず現パラだったらプラス10にすればいいのね。 でも平安時でもじーさま高いな。 年齢についてもあとがきでへーと思った。 小学6年とは。 帰省から戻ったら、現パラの連載を載せます。 またゆっくり更新になるでしょう。 |