※現代パラレル物です。それを了承する方、読んでくださいです。如月深雪拝※



ChinaTea






 五月晴れの土曜日の午後。
 今日はいつもと違って安倍昌浩が藤原彰子の家に来ていた。
 彰子の父・道長のお土産を受け取りに来たのである。
 出張先は杭州で、竜井茶を露樹のために。それから子供用に九連凧と、男性陣に紹興酒を二本。
「最近、道長おじさん、中国が本当に頻繁なんだね。やっぱり。」
 ソファ前のフローリングに腰を下ろしている昌浩は、凧を広げてみながら呟いた。
「うん。投資するにもなんだかんだ中国ばかりみたい。あとインド。」
 彰子は応接テーブルの昌浩の反対側で中国の茶器を使ってお茶を入れている。
 昌浩は物珍しそうに彰子の手元を見る。
 中国茶はよくわからないのでこうして彰子と自分とでしていると、子供の頃にしたままごとセットみたいだなぁと思った。
「中国茶って苦いと思ってたけど、結構中国茶って甘系だよね。香港でそう思った。」
 飲む前の昌浩の感想に、彰子はうんと肯定した。
「苦いと思うのはサントリーの烏龍茶のせいよね。言ってはなんだけどあれはすごく不味い部類だと思う。色も茶色だし。」
 茶壷から背の高い瀬戸物の容器達にお茶を注いでいく。
 更にそれから湯のみ茶碗に茶を空ける。
 彰子は空にした『聞香杯』を昌浩に手渡した。
 煎れたお茶は凍頂烏龍茶だ。
 台湾のお茶である。
「うん。甘い。」
「で、これがお茶。」
 茶碗を手渡す。
 薄い黄色がかったお茶だ。
「これ烏龍茶?。」
 茶の色に対しての感想だ。
「そう。サントリーのだけ知っていると茶色いイメージになるけどね。」
「へえ。・・いただきます。」
 口に含むとほんのりとした甘みが広がった。
 軽く喉をくすぐるような感じもする。
「おいしいなぁ。甘いし。飲みやすい。味があるね。喉痛めた時、良さそう。」
 率直な感想である。
「あ、うん。私そう思って冬場飲んだ。コップに何度もお湯を継ぎ足すやり方で。スポーツ飲料だと飲みやすいけど砂糖入ってるから。お茶だったら飲みすぎを気にしなくていいもの。」
「母さん喜びそう。」
「おばさまは気にしなくていいでしょうに。」
「気にしすぎは駄目だけど、気にしなくなったら余計駄目だって言い返されました。」
「・・・おばさまらしい。」
 彰子は大納得で大いに頷き返した。
 その時だ。インターフォンが鳴る。昌浩達はそちらを振り返る。お手伝いさんが子機を取り画面を確認する。
 お手伝いさんがお帰りなさいといって、子機を置いた。
「頼通?。」
「ええ。」
 お手伝いさんは笑顔を返して玄関に迎えに行く。
 程なくして道長の長男の甲高い声が聞こえてきた。
「ただいまっ。・・げっ。」
 土曜日の午後に頼通が昌浩達より遅いのは塾に行っていたためである。
「おかえり。」
 にこやかに昌浩が振り向いた。
「なんで昌浩がいるんだよっ。」
「・・・・。」
 いつもの通りだが歓迎されたものである。







[07/5/9]

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−Comment−

短くてすみません。
委員会に出そうと思っている話に全神経を注いだあとなのでご容赦。
八十八夜だったなぁとか、中国茶もらったとか、GW中は茶にまつわることが多かったのでこんなのをチラッと書いてみました。
参考本
『おいしいお茶の時間 −紅茶・日本茶・中国茶・コーヒー−』
生活実用シリーズ・NHKまる得マガジンMOOK
ISBN4141876852
なかなかお得な本です。


ではではあっちゃこっちゃから写し↓

翼よ天に〜>
 直衣はほんと動きにくそうだ。そのままそこを動けないのがなんともいえない。
 カットはちょっと前の12歳13歳な二人なのがよくわかる。
 文机の感じが特にね。
 大きく登場人物紹介していた時の感じ。
 ゆきが可愛いっ。越影・ゆきがこれきりかと思うと、うう惜しい。おにいちゃんも素敵過ぎて〜悲しいTT
 青龍太裳が増えそうだ。


逢魔ヶ辻〜>
 「もっくん久しぶり」につきます。彰子節。
 物の怪の眉間にしわがよる様がまざまざと見えます。


少年陰陽師最終話>

   何も言わない。教えない。
   何も聞かない。
   あやふやにしているのは自分。

   紅蓮は俺を傷つけたことに傷ついているけど、相殺なんだ。
   むしろ自分の方が罪が重い。
   神を殺した。
   肉を切り骨を断った感触は今も思い出せる。
   そう、この手は間違いなく、おまえを殺したんだ。

 あ、泣きそう、私、とか思った。
 紅蓮を刺したシーンである。
 うわーきついわ、これ。
 小説でもきつかったが、アニメだと切なさも倍増。
 神殺し、という言葉が重い。
 そのあと生き返らせたのは昌浩だけど、刺した感触は消えるまい。
 はー・・。
 最終回となったわけだけど、後は小説でで、良かった。


結城先生の日記を読んでいて>
 え、と思ったことが一つ。
 なるしまゆり読んでいるんだー・・と。
 槇原敬之に織田裕二に、なるしまゆりですか・・。
 なるしまゆりは同人誌ほぼそろえてます〜。
 さすがにサムライトルーパーは一部ですが。
 只今私は少年魔法士の続巻を待っているところです。
 これでリリーナが好きとかだったら、すごいなー。
 幽白は蛍子が好きでした。桑原君も〜。
 中島みゆきは旦那がすごいので、尋ねたら答えが返ってくる。
 この半年くらい楽しみが続きますね、少年陰陽師。
 ロードがすごいな。
 全部のキーはそろえます!。もーちーろーん当然イエイっ。
 (ほぼ持ってますがね。たぶん持ってますがね。でもわからないじゃないかっ。)
 読者にとっては幸せなロードになりそうです。