※現代パラレル物です。それを了承する方、読んでくださいです。如月深雪拝※A fortune-teller〜エンディング〜―――陰陽師とは。 風水や占いに詳しい頭脳集団であるというだけに留まらない。 霊を、妖を、神を、見、 接触し、扱い、操る。 その後継とは、 孤独と、恐怖と、嫌悪と、罪悪感に耐えなければならないということ。 雪が落ちていく。 「・・・・。」 そして遠くに舞い上がっていく者達が見えた。 あの陽気な妖達も上っていっただろう。 「(さよなら・・。)」 昌浩は窓際に腰を降ろして眺めていた。 「・・・・。」 マグを二つ持った彰子はそっと昌浩の部屋に入った。 一つを昌浩に手渡す。 「ありがとう。」 アールグレイのミルクティ。 いる?、と聞かれてお願いした。 彰子は昌浩の隣の壁に座り込んだ。昌浩の視線の先を眺める。 見ているのは大学がある方向だ。 今日の地鎮の効果が出て、霊道が機能し始めたのだ。 降る雪とは逆に、霊達が白い光となって天へ上がって行く。 飛んでいくのは大学に閉じ込められていた霊だけではない。霊道が少なくなり、天へと上がる道に困って地上に留まるしかなかった付近の霊達もだ。 あらかたの霊が天に届くまで、雪の降る今夜いっぱい続くだろう。 「ずいぶんたくさんの霊が留まっていたのね。」 「・・・そうだね。」 ミルクティをすすった。 雪が降る。 庭に積もっていく。 「・・・・・。え・・。」 昌浩と彰子は目を瞠いた。 ごろんごろん、 ぼと、ぼと、 でん、でん、 と。 半ばその姿を薄らせて、 けれど、陽気な姿で、わらわらと、 つるべおとし達が、庭の奥に勢ぞろい。 「あ・・。」 昌浩は身を乗り出した。 けれど、瞬間つるべおとし達が一斉に、でんでん、とジャンプした。 ダメだよ、と。 陽気な妖達は、陽気なままで、昌浩にお別れを言いに来たのだ。 彰子はそっと昌浩の背に触れた。 この先はあの世。 この世側に昌浩を捕まえる。 温もりに緊張していた昌浩の体から力が抜けた。 陰陽師の傍にいる。 片時も離れない者達。 心に寄りそってくれる人。 彼らがいるから、 思いに押しつぶされず、声を搾り出すことが出来る。 「・・・彰子。」 こちらを昌浩が振り向いた。 彰子は笑うと、庭に視線を戻した。 「・・・・。」 同じ景色を、見ることが出来ることを幸運に思う。 つるべおとし達は、その姿を一瞬生前に戻す。 そして、消えた。 「さよなら。」 昌浩は声にした。 二度と会えない、さよならを。 [06/4/3] #小路Novelに戻る# #Back# −Comment− 完結です。うーんやっと結びの文に辿りつけた。 1年ちょっとかかってしまいましたね。ここまで読んでくれた方に多謝。 やーっぱり端折っている文面があるのですが、これは余力があるときに。 タイトルは決まってるんですがね・・・。 『六道の辻に鬼の哭く』 2時間以上、そうしてるそういう融が好きですよ。 いやもー、全力でふっ飛ばしたくなります。 あー、楓が・・・。 |