GYM オフィス街から少し外れて、民間施設の多い区画にリリーナはたどり着く。 綺麗な食器の並べられたショーウィンドウ、洋服、多くの書籍を扱っている大型書店。 少し大人向けの専門店街が続く。 再びL1に来ていた。コロニーとの戦後の交渉が佳境に入っているためで、最近はコロニー間の移動も多かった。 ただ今はその会議を終えた後だ。前回に来たときに休みを一部返上して事に当たっていたので今日はもう最終調整だけだった。 明日の予定は地球に帰るだけ。 だから午後を散歩に当てていた。 リリーナはストラップに指を通して端末を一振りしてみる。 無事ホテルを抜け出せてきて、我ながら関心したりもする。 小さな頃から父と一緒にコロニーに来ていた。ちょっとは勝手がわかっているとは思う。 着ている服も、回顧傾向の地球のそれより合理的で軽やかだ。 八月の末なので半袖の白シャツにベージュの膝丈のジャンパースカート。スカートの裾は二重になっていて膨らみ、内側のピンクの細かい花をあしらった布が可愛い。 髪は横髪を結んで下ろしている。 リリーナはショーウィンドウに映る自分の姿を確かめる。 この髪型が想像以上に外務次官の時と趣を異にするらしい。秘書のクリスが言う。 あまり昔から変わらない髪形だ。ショーウィンドウに昔の自分を映す。 仕事で忙しい養父から離れて、一人で出歩いていた。 いろんなものを見てまわった。 コロニーは地球より安全で、だからそれを咎めるようなことを父はしなかった。 「・・・。」 リリーナはくるっとウィンドウに背を向けて、掌ほどの端末の短縮を押す。 この間教えてももらったプライベートナンバー。 耳に当てると、ちゃんとコール音がした。 その音を聞きながらリリーナは道端から空を見上げる。 「(宇宙に街がある。)」 幼い時の眼差しと驚きに満ちた心で、コロニーの空を見上げることが出来ているだろうか。 がちゃ、とコール音が切れた?。 ああ・・たぶん出来ている。 <?。なんだ?> 低音でしかも無愛想な声が返ってくる。 「こんにちはヒイロ。今ね紅茶屋さんの前にいるの。」 もちろんL1よ、とくすくす笑いならリリーナは挨拶する。 優しそうな声で、でも続けた言葉はそれなりに厳しかった。 「・・10秒以内に来て。」 <・・・・・> ヒイロの事情などお構いなしだが、今は大学の夏季休暇中なのだ。融通を付けてもらいたい。 「いーち。にー。」 リリーナは端末を耳に当てたまま、街路の真ん中にいく。 周りを見回せば、右は居住区に近く、路向こう前方は公園。左はオフィス街がまだまだ続いていく。 ちなみにヒイロが学校にいたり、家にいるのなら、このあたりの区画からは円形のコロニーのお向かいにあり、正反対だ。 「さーん。」 端末向こう通話は切られておらず、ヒイロもまた咎めなかった。 「・・・・。」 <にー。> ヒイロは端末を掌で操作して番号を追跡する。 近くだ。 何をしているんだと思う。今日はL1に来る予定では無かったはずだ。 臨時だとか急遽とか言うことは彼女にはままある。 それであろうと思われた。 ヒイロは思いながら特許庁の閲覧室のから出て、庁庭園の向こうへと走り出す。 リリーナの妄言に乗る必要もないが、近くだ。 妄言だろうと負けるのは癪である。 <さーん。> 庁庭園から続く公園を横切り、アーティストが作ったオブジェのような壁に手を掛けて、身軽にその向こうへと飛んだ。 リリーナは目を見張った。 路向かいの公園の壁をひょいと越え、とんと軽やかに降りてくる。 気候に合わせて向こうも白い半袖シャツにストーンウォッシュの黒のデニム。 「ごー・・。」 端末を耳から外す。 ヒイロはリリーナの前に立った。 「なんだ?、その10秒以内というのは?。」 「そのぐらい早く会いたいだけです。」 降参といった風情でリリーナは応えた。 ヒイロがあきれた顔をした。 「早いわ。足にヘルメスの翼がついてるの?。」 「近くの特許庁にいた。」 「・・・。」 公園向こうには省庁が連なり、特許庁もすぐ近くだ。 「場所はその番号を追跡してみた。近かったから来れたが、学校だったら断るところだ。」 ヒイロの仏頂面にリリーナは微苦笑する。 「はい。わかってます。」 彼女が笑うから、腕を引いてみる。 早く会いたかったという思いごと、ヒイロはリリーナを抱き寄せてその右頬にキスをした。 自分の特権だった。 特許庁にてのデータ申請が終わって、ヒイロが戻ってきた。 傍の公園の芝生にて、オブジェでもあり椅子でもあるところにリリーナは座っていた。 そっと彼を眺める。 かつてを思うと彼はすごく変わった。人との関係を重視したり、どんな者の意見も一応は聞く姿勢を持つようになった。 それは本人にとって好ましいものなのかも、望ましいもことなのかも、わからない。 私はどんなヒイロも好きだが、楽しそうなヒイロならもっといい。 リリーナは苦笑する。 ヒイロの動きは軽やかで、重さを感じさせないものがある。それは以前と変わらない、と思ったのだ。 「・・・。」 ・・変わらないが・・と思うが、やおら真面目に考える。そう言えば背はもう私より頭一つ分も大きいのだ。 シャツに隠れてしまうと華奢に見えるのだが、肩幅も自分の身幅以上になっている。 大きい人で軽やかなのはあまりイコールではない気がする。 「ヒイロって、成長期・・よね。」 「・・ああ。」 「また大きくなった気がする。二週間で伸びるもの?。」 「別に、大きくはない。」 「そうなの?。」 周りを見渡してみたり、思い返してみたりする。ヒイロはこの日系の多いL1の人達の中では少し大きな部類のような気がしてならない。 「地球圏を考えれば、日系は小さい部類だ。」 言いながら少し憮然としてしまう。 彼女の兄はすごく大きい。そして彼女もだ。 もう止まったようだが伸びた。 だが言わない。言えるかという奴である。 「男の人は本当に勝手に伸びていくわね。」 勝手というのは、少し揶揄が入る。 そんなことはないだろうというものだ。 どこかで鍛えなおさなければ、ならない。フィギュアスケートを例にすればわかりやすく、少女時代の細い体つきと軽さで出来た演技は、成長期を過ぎ肉厚になっていく女性の体において、相当の努力がいるものだった。 「どこかで無理してないわよね。」 ヒイロはリリーナの言いたいことがわかった。 「無理はしていないつもりだが、俺の場合、少しそうも言ってられない。体を小さくしていくことが求められたからな。」 「・・。」 「少しトレーニングが必要だった。今もだがな。」 やはりそうなのだ。 ヒイロの筋肉は生まれつきのものでも加工されたものでもない。 努力で鍛えられたもの。飾りじゃない。 「トレーニングって?。」 「本当にそのままだ。もう少し体脂肪率を増やして、圧縮してきた筋肉を柔軟にする。そうすれば骨が伸びる。柔らかくする作業と、硬化させる作業、マッサージと筋力トレーニングの繰り返しだ。・・・・それから食事と睡眠か。」 本当に普通だ。ちょっとほっとする。 「どこかでやってるの?。」 「ジム。元々は体力強化訓練研究所。」 「すごい、転身ね。」 そういうのはちょっと面白そうだ。 「行ってみたい。」 「・・・」 「普通に行けるところなんでしょう?。」 「元々は訓練所だ。」 行きたいという気持ちに水を差されてちょっとむっとする。 「・・なら勝手に行きます。外務次官権限で。」 「・・言うと思った。」 リリーナは時々こういう時に権限を振りかざすのだ。 地下5階。地上4階。それから中央空港ターミナルへと続く外壁に隣接している Gが変わる環境での訓練に使うため階下と階上が増えるとヒイロが教えてくれる。 見た目は改装されて普通のジムである。 主な客層はGのない宇宙空間で筋肉を疲労させた労働者だ。トレーニングメニューをアドバイスし、トレーニング機器を提供する。 「こんにちはー。お疲れ様です。・・こんにちはー」 「ありがとうございました。またお願いします。」 ジムから出入りする人達に、軽快でよく通る声で挨拶が繰り返される。 「こんにちはー。・・あ。ユイ。」 その受付にいた綺麗な女の子が呟いた。 受付の男のスタッフに続きを頼むと、台を回りこんで、近寄ってくる。 「・・・・。」 短髪のあきらかに染めている金髪で、目もカラーコンタクトの青で、細身で着ている服もタイトで、蛇蝎を思わせる赤黒い袖無しのワンピース。靴もその色に合わせたブーツ。背は自分より低く華奢。 飾られた美しさには違いないが、綺麗だ。 すごく綺麗である。 「・・。」 なんか誤解していると思う。ヒイロは背中でシャツをつまんでいるリリーナを見て思う。 「ユイ。鍵どうぞ。二階Aの部屋。マシンなら調整しておいたから。次は壊すな・・・・・。」 言われながら、さっさと通り過ぎようとするのはいつも通りだが、 リリーナに視線が注がれる。 絶句する。 「お・・おんなのこ?。」 「・・・。」 こちらはこちらで言うと思った。 奴が信じられないのも無理は無い。このジムに来た当初、奴は人の顔を見るなり逃げやがったくらいだ。 転身の仕方は面白かったので、逃がすつもりは毛頭無かった。 捕まえて、やることをやらせた。 工作員としては三流だが、トレーナとしての腕は父親に似て相変わらず本物だった。 「知り合い?。」 リリーナに尋ねられる。 「訓練でいた奴だ。」 それ以外は部屋で話すとリリーナの手を引いていく。階段を登り、突き当りの部屋だ。 「・・おまえが・・おんな?。ええええっ。」 顔面を白黒させて、自分に問答している。 「うるさい。」 鍵を開けながら部屋に入った。 奴は当惑しながらも部屋に入っていき、機器の調節をする。ぱっと見てヒイロの伸びた身長に合わせて再調節しているのだ。 「はい使えるぞ・・。・・・なあ、おまえの正体知ってるの?。」 「・・・なんのことだ?。」 余計なことを言う。 機械に触れて自身でも調節する。 奴はリリーナに近づいていく。 「俺はナナっていう。」 「俺?。」 「・・ああ、まぎらわしいか。俺、少年女子。よろしく。」 「・・・・わかりました。」 リリーナは誤解も合わせて、スルーすることにした。 「あれでもマシになったほうだ。最初逃げたからな。」 「どうして?」 「奴の父親が工作員のエージェントだった。特に接近戦をメインにしたプログラムで俺は奴に鍛えられた。」 それは生かさず殺さずだったものなのだろう。 だからナナ逃げる。 だがそれは間違いだ。ヒイロは己に受けたものを憎しみにしない。 「その父親は?。」 「一応調べたが、わからない。ナナを見つけたから本気で探していない。トレーナーの腕は奴のほうが先進的だ。」 「そう。」 ヒイロが使う機器以外の調節を終えて、ヒイロが機械から離れる。 「ついでだ。おまえの体力測定をする。」 そう来ると思った。調節をしているから。 身長ならまだしも体重まで憶測でも頭に入ってるのだろうか・・。 「いいけど。数値にあきれないでね。」 スカートでするのもなんだが、今更場所を厭っていてもしょうがない。 軽いマシーンでの自転車走行。握力に腕力。瞬発力。 どれも短時間なのでリリーナは快調にこなしていく。 何をするにしても楽しげだと思う。 ヒイロは数値を見る。 「・・・。」 楽しげにやっているのもあるのだろう。 結果は想像以上に良好だ。 「何か運動をしているのか?。」 「・・・運動と言うほどじゃないけど、ホテルにプールがあればプール。」 「ああ、それだな。」 正直事務作業は運動にならない。 「肺活量も筋肉のバランスも悪くない。・・だからあれだけの活動をこなせるのかもな。」 「泳ぐのは好きよ。」 それは地球育ちのリリーナならではだ。 「宇宙遊泳なら得意だ。」 「言ってなさい。」 ふふっとお互いに笑い合った。 ・・あの男が笑っている。 本気なのだ。 信じられない。 ナナは管理室にてモニターを眺める。 所々口唇術で会話を読み取ると奴が工作員だと言うことを知っているようだった。 綺麗で穏やかに見えた。そしてそれ以上に元気である。清楚さに艶やかさを持ち合わせていた。 だが奴と一緒にいる事実が清婉な彼女の本性を疑わす。 「・・・。」 この女をどこかで見たことがあるような気がした。 だが思い出せない。 自身が工作員として三流なのは知っているが、今更疎ましく思う。 「・・でも誰でもいい。」 テーブルの引き出しから、そっと掌のサイズのオートマチックの銃を手に取る。 0011番にはやってもらいたいことがあった。 0077番は思った。 ナナが入ってくる。さっきと面差しが違う。 「0011、来てもらおうか。」 「・・・・。」 リリーナの後頭部に突きつけられたのは銃だった。 「ヒズハニー・・あなたには悪いけど、俺は奴にしてもらいたいことがある。」 「・・・・・私はヒイロの人質にはなりませんよ。」 「・・・。」 怖がるのではなく、第一声がそれか、と思う。 0011の女だけはあるかもしれない。 そして0011も動かない。こちらの動静を伺っているようだった。 いつでも奪い返せる。奴ならやってのける。 もしかしたらこの行為によって自分は生殺与奪を握られてしまったのかもしれない。 そう思ったら銃口が震えた。 怖い。 だがぎゅっと銃を握る。 「嘘だ。0011が女といるということ自体俺は信じられない。」 「・・本当にそうだったら嬉しい。」 リリーナは微笑んだ。 「・・・。」 人の気も知らないで、と思う。 ヒイロは機器を置いた。 「77。人質は大事にするんだな。」 奴は無表情のままで、まるで任務を告げるような淡々としたものだった。 「守れということだ。それがおまえを守ることになる」 「・・・・・・もちろんだ。こっちに来て。」 リリーナは先立ってさっさと歩き出す。 何か言いたいこと、見せたいものがあるのだろうと推測していた。 部屋を出る。 すぐ傍のエレベータに乗り込む。 「ハニー・・・さん。」 「?。」 「呼び方。こんな状況じゃ教えてくれないだろ。」 「・・・」 ヒイロあたりは元工作員のくせに気づかないから、おまえは三流なんだと思っている。 「なんでこいつといるの?。俺なんか最初逃げ出したし、今だって逃げたい。」 本音なようだ。声音が硬い。 「けど大人しい客に納まってるし、機械壊すけど。訓練中を思い出すと本人とさえ思えない。」 そうヒイロは変わっていっている。 「あなたもわからない。」 「わかる努力をしてください。ただわからないと言われるだけ不愉快です。」 リリーナはそう言うに留めた。 言葉を・・対話を重視するドーリアン流の会話。ヒイロはそう思う。 ヒイロは腕組みをしながらエレベーターの壁に寄りかかり、これから起こるであろうことを予想する。 行き先は無重力の倉庫だ。 そこにあるもの。 「・・・・・。」 おそらくは・・あるのだ。 エレベータが止まる。 三人は降りる。既に無重力で地を蹴る。 そして向かいの扉を開けた。 荷解き場のようだった。だけど荷は無い。 ナナはヒイロを先に行かせて、リリーナの手を引く。目的のドアの前に降りた。 「・・・・77。おまえの父親はどこにいる。」 ぎくりと震えた。図星だ。 「冷凍か?、拘束か?。」 薬や麻酔の可能性は無い。 リリーナがその言葉に目を見張った。 ナナが応えた。 「・・・・拘束だ。」 「・・・・あまりこいつにそういうものを見せたくないんだがな。」 溜息をつく。 リリーナは努めて平気を装い微笑んだ。 「私はかまいません。」 「・・・。」 「それより至った経緯を聞けませんか?。」 真摯な眼差しでヒイロとナナを見る。 もしこの扉の向こうにそれがあるなら聞いてからのほうがいい。 ヒイロがおもむろに話し出す。 「これの父親で名前はユタカ。接近戦での訓練の相手だとは言ったな。」 頷く。 「それは当然あらゆる状況での接近戦だ。どこまでもストイックに行われている。加圧減圧、催眠、覚醒沈静。」 ヒイロは頭を指した。 「全ての場合においてここをコントロールしながらだ。」 「・・・・。」 「俺は理性を残せた。奴は残せなかった。」 「・・・・そして、そのために親父は肉体を強化しようとした。瞬発力と破壊力。0011はそれを理性が残せた状態で克服した。」 その番号で呼ぶのが気に入らない、と思った。 「おまえは特殊プログラムに移って、親父はその被験者になっていった。」 「・・・そうか。」 ヒイロは目を細めた。 「最後には痛覚を持たないようになった。」 「っ。」 ヒイロを見る。 だがヒイロは首を横に振った。 リリーナがほっとして、表情を晴れさす。 だが続けた言葉には何の面白みも無かった。 「痛覚は資質を高めるための反省になるとして残された。」 物みたいに言わないでと今度は非難めいた眼差しを寄越す。 緊張感が薄れる・・と思った。 こんな状況でも自分のことより俺のことなのだ。 「親父は正真正銘の兵器になった。目的は達せた。」 ナナは薄く笑った。 「拘束を解けば全てを破壊しつくす完璧な兵器。おまえと一緒だ。」 「・・・一緒にするな。俺はクリアした。」 「ああ。」 虐待を耐え抜いた奴に恨み言を言うなんてお門違いだ。しかも奴は番号の後続を断ったのだ。 俺たちはそんなものを受けずに済んだ。 「だから冷凍して宇宙空間に捨てようとした。親父が不死身でも空気が無ければ死ぬだけだ。」 ナナは扉を開ける。 扉が右にスライドしていく。無重力に近い場所なのに重い音がした。 なんという分厚い壁の扉だろう。コロニーの外壁ほどの厚さだ。 「だけど脅迫された。生かしておけと言う連中がいる。俺は身を守るすべを持たない。だから生かしておいている。」 「・・・。」 まるでミイラだった。 扉の向こうの寝台に拘束着を着せられた男がいた。 リリーナは泣きそうになった。 こんな人が地球圏にいるのかと思ったからと言うのもある。 可哀想とも惨いとも思う。 だけど何よりは。 「殺せない・・死ねないのは俺を見てわかるだろう?。」 「・・・・。」 「あれは俺だ。」 そう・・それがたまらなく悲しい。 リリーナは俯いてこくりと頷いた。 ナナが説明のような経緯をまだ続けていた。 「おまえにやられたことにすれば終わる。奴ら連中にも01のパイロットにやられたと言えば収まる。」 「その連中の情報を渡せ。ならば引き受ける。」 「ああ。もちろんかまわない。」 「・・彼女を連れて、あの上まで避難していろ。拘束は俺が解く。」 「わかった・・・。」 腑に落ちないものを感じた。 情報を渡せばと言った。 「・・・・・・ならばってなんだ?。彼女のためじゃないのか?。」 それなら向けている銃口が無意味だ。 「彼女が言ったはずだ。俺の人質にならないと。」 その言に人でなしを感じて振り返る。だが彼女は肯定するように頷くだけ。 ナナは銃口を下ろした。 ヒイロは肩を竦めた。 「俺にやられたことになればいいんだな。」 振り返りミイラに向き直る。 「・・・。」 ナナはリリーナの手を引いて階上の通路へと無重力空間を飛んだ。 「おい。起きろ。」 かつて言われ続けた台詞を吐く。 目覚めさすには効果的な言葉だろう。 筋肉が未発達なりに訓練を行ったのがこいつだ。 拘束具のバックルを外す。 そしてそれだけで、奴は目覚めた。 拘束具のゴムを内側から引きちぎり、抜け出してくる。 手は長い。膝まである。足も長い。リーチを詰められてしまうだろう。 そして、立てば背は2メートルある。黒いシャツ黒いタイツ姿。 うっそりとユタカが立ち上がった。 「・・・・。」 戦闘が始まったのはその後すぐだった。 相当の破壊力を持った拳がヒイロがいた場所に振り下ろされる。 ヒイロは後退し荷解き場に誘導する。 奴はゆっくりとついてくる。緩急のある動きは自分そっくりだ。 ただ目だけ違うと思う。 目の前のものを敵とみなす。 覚えのある感覚がヒイロの胸を突く。 「・・・・・全ての知覚を通して全世界が見えているはずだ。」 ゼロシステムと同じ。 ただ暴徒と化さず生身でそんなことが出来るのは、カトルぐらいだ。 自分は克服しただけ。征服しただけ。自在と言うわけじゃない。 「戦争は終わった。おまえも終わらせろ。」 ヒイロは間合いを狭め、奴が昔、最も痛覚を覚えた右胸に向かって拳を叩き込んだ。 懐一番深いところだ。ヒイロはすぐさま屈伸し後退し長い腕から逃れる。 渾身の力は込めた。だが効いてくるにはまだ時間がかかる。 ナナが目を見張っている。 「・・・話が違う。」 「どういうことですか?。」 「今の一撃で殺せたはずなのに。」 「・・・。」 ヒイロが言ったことを思い返してみる。・・・筋は通している。やられたことになればと言っただけだ。 つまりユタカが人に回帰する方法を取ろうとしているのだ。 ただリリーナは思った。 まだ殺さなければならない選択肢をヒイロは持っている。彼は殺すと言った相手を、きっと殺せない。 「ヒズハニー・・あなたは怖くないの?。」 「怖いです。」 ヒイロが人を殺すのが。 ヒイロが殺されてしまうことが。 でもそんなこと教えてあげない。 ヒイロに殺させようとしているのだから。 「・・・。」 でもナナもつらかったのだろうと思った。 守るも縛ることしか出来ない、殺しも出来ない。 ナナはそんなリリーナの思いに気づかず、知ろうともせず、再び自問自答に戻り指を齧る。 「どういうつもりだ・・。」 ナナの息遣いが荒くなり始めていた。地団駄を踏んでいるように見えた。 おそらく怖いのだ。 ヒイロがやられたあとの自分を想像して。 極度の脅迫を感じている。 以前の軽い体なら、少し飛ばされてしまうだろう。 だが77が自身に施したプログラムは驚くほど正確だった。 思惑がどうであれ、成長期の体をここまでまともにしているのは奴の他ならない。 昔からそうだった。 父親のユタカは整体の医師でもあった。0077はその力だけは受け継いでいて、訓練の前の準備と後の処理を補佐させられていた。 0077がナナになって、あのスタイルを貫くのは過去を隠せるからの他ならない。 77にとって過去は恐怖でしかない。 間合いを再び取った。 どうしても肝心の脳天に打ち込めない。 リーチが在りすぎる。 「77にもう少し伸ばしてもらうよう言うか・・・。」 適当にぼやいたのは暇つぶしだ。 再び間合いが狭まる。 無重力に近い空間のため上に回るのが難しかった。 ヒイロは蹴りを手刀にて払われる。 続けざまユタカの蹴りがヒイロの脇腹に入った。 「ヒイロっ。」 ヒイロが足元20mの壁に打ち付けられる。 痛いはずなのに、うめき声一つも出さない。 肩を押さえて立ち上がる。 「・・・・・っ。」 ナナが銃口をユタカに向けた。 リリーナは反射的にそれは駄目だと思った。 ユタカの対象が自分達になる。 なにより父親を殺させてはならない。 リリーナはナナの、がら空きの横っ面目掛けて、靴を飛ばした。 あたりはしなかったが、銃を持つ手の上を吹っ飛ぶ。 銃口が反れてあたりに響く。 ユタカの意識がこちらに向く。 そして、リリーナは通路の柵を越えてダイブする。 「・・ヒズハニー・・っ、ハニーさんっ。」 ナナが我に返った。 ユタカの目が彼女をを追う。そして拳を振り上げて一歩を踏み出した。。 「・・・・。」 リリーナがふわりと降りてくる。 俺の前に立った。まるで立ちはだかるようだ。 ユタカにも俺にも。 「もう終わりにしてください。」 その背は頼もしく勇ましくて、誰もが憧憬する。 俺も、そしてユタカも。 渾身の力を込めて振り下ろそうとしているその拳が止まる。 「ハニーさんっ。」 ナナがリリーナの前に立つ。拳を受け止めるためだ。 「おまえの父親は一流だったようだな。」 奇妙な音が鳴った。骨を砕くようなボキボキとした低音。 無重力状態で放たれた拳と、それを止めた筋肉が負荷に悲鳴を上げているのだ。 ユタカが崩れ落ちた。拳の遠心力と反対に腰がねじれ曲がりだす。 「・・・うそだ。どうして。」 ナナは父親が取った行動を理解し、同時に動揺し、だが反射的に動いた。 リリーナの横をすり抜け、父親の腕に触れたのだ。 筋肉を逆らわせず、勢いを残す。その上で腰をロールした。 ヒイロもリリーナの横を通り抜け、手伝う。 喉に詰まる舌根を吐き出させ、呼吸をさせる。 背中を強く指圧して、視力を回復させる。 重々しくユタカの口が開く。 「・・・ドーリアン・・外務次官。」 ナナが目を見張った。動きも止まる。 「・・それは父のことですか?。」 リリーナが問答をする。 「いいえ。あなたのことだ。リリーナ・ドーリアン外務次官。」 ナナが驚愕して振り返った。 「どうしてご存知なんですか?。」 「未来が見えた。あなたを殺すわけにはいかない。俺達はコロニーを守るために戦っている。」 「・・・・。」 リリーナを見る。リリーナは一生懸命言葉を伝えようとしている。 「戦争は終わりました。そしてあなたは守るものを守りました。・・・・・休めますか?。」 「・・・・わからない。」 それは最低にして十分だった。それでいい。それが現実だ。 だからヒイロはぼそりと呟いた。 「どうせ体が動かない。休むしかない。」 そして立ち上がり、ユタカを肩に担ぎ上げる。自分の行為に驚いているようだがしばらくは表情にまだ浮かべることは出来ないだろう。 リリーナは急ぎ飛んだ。先程の部屋に入る。拘束具を蹴散らすようにどかし、スペースを作る。 そしてユタカをヒイロが降ろしていたが、傍にあったモップで忌々しげに押しやり片付けていく。 ナナが寝泊りに使っていただろう簡易ベッドや機器類も適当に押しやって瞬く間に整頓していく。 「外務次官・・・・・・・?。」 ナナはまだ呆然としていた。 「・・・・・。」 呆然としていながらもユタカの治療は続けているから、張り飛ばしたりはしないが。 「だからおまえは三流なんだ。ここに来た時点で気づけ。」 「・・。」 ぐっと言葉に詰まる。 「リリーナ。」 ヒイロは彼女を呼んだ。 「用は済んだ。もうすることは無い。」 そして手を引いた。いくぞと促す。 「え・・でも。このまま置いていけません。」 「することは何も無い。あとは任せておけばいい。」 なおも、いいえと逡巡するリリーナをヒイロは抱え上げた。 「きゃっ。」 「俺との時間のほうが大事だ。ユタカ、また明日来る。」 そう言い残してヒイロは床を蹴った。 さっさかジムとスタジオを抜けて、外に出る。 1Gが重く感じる。 まるで山のてっぺんから地上に一気に戻ってきたような感覚だ。 ちょっとだけヒイロにしがみつく。 「・・・。」 Gのせいだけではないと思う。 目眩の理由を、ヒイロはしかし言わなかった。 専門店街が並ぶ通りに出る。家からは大学を挟んで反対側で役所などの往来に使う通りだ。 「ヒイロ?。」 「・・。」 靴屋の前の街路のベンチにリリーナを座らせる。 「え・・。え?」 リリーナは困惑気味で、ヒイロを目で追うだけ。 ヒイロは店に入ると、適当にショーウィンドウの亜麻色のサンダルを取った。 店主が出てきて、カード決済する。 「どうしたんだい?。」 「・・・靴を空に放った。」 店主が外で待っている彼女を見る。その子は驚いてて当惑している様子だった。 「コロニーの子じゃないのかい?。」 「ああ。」 「それはびっくりしただろうねぇ。」 微笑ましそうに目を細め、穏やかに笑った。 ヒイロは戻って、サンダルの紐を解いた。 「あの・・ヒイロ?。」 「・・・。」 紐を解きながら呟く。 「・・・巻き込んで、悪かった。」 「え・・。」 「怖かったはずだ。」 片膝を突いて、リリーナの右足を取ってサンダルを履かせる。 今度は吹っ飛ばせないようにサンダルには紐が有る。ヒイロはするりと結んだ。 「え・・とあの。」 彼の真摯な気持ちに対して、なんとなく申し訳ないような気持ちになった。 「ごめんなさい。」 「?。」 「全部吹き飛んでしまいました。・・あの・・だってヒイロ。こんな・・恥ずかしい。」 耳まで赤面して、応える。 「・・リリーナ。」 ヒイロは真顔も半眼になった。まったく関係ないだろうと思う。 もう片方の足もつかまれてしまう。 残っている靴を取って、新しいほうを履かす。 正直履かせてもらうなど遠い幼い頃の記憶にしかない。 サイズは当たっている。 身長と体重と同じように入っているのだろうけれど。 ヒイロが顔を上げる。 リリーナは真っ赤のまま、でも、はにかんだ。 ヒイロがリリーナを立ち上がらせる。 サンダルの様子を伺った時、再び赤黒い服と金髪が目に入った。 ヒイロを見やれば、気がついているようで、でも完全無視を決め込んでいる顔だった。 ナナが、もはやあっけに取られて絶句している。 「・・・・どうかされましたか?。」 リリーナが助け舟を出してやる。 「・・・え・・と・・ユイに、ダウンしとけって言おうと思ったんだけど。」 「必要か?。」 ヒイロが目線だけ寄越す。 「最低でも腕。手首から上腕へ血液を戻すように片方ずつ7回・・・いや10回。親父相手だったから、負荷のほかに緊張も含めて。」 「わかった。」 「・・・・。」 ナナは二人を落ち着いて見る。こうして並んでいると普通だ。 だが・・。 「・・・・・高飛車な女みたいにすまして、お高くとまって、えらそうなおまえが、・・・・靴。」 ありえない。人の足に触れるなどそれに伴ういくつかの含意に嫌悪感が先立ちそうな奴だ。 ヒイロは自覚はあるのか否定せず、言い返す。 「おまえに言われたくない。その格好、男が気色が悪い。」 「似合うからいいんだよ。これでもものすごい宣伝効果があるんだぞ。」 知っている。 特に女があのジムに来るようになっている。 男でもここまで女らしくなれるという、そういった触れだ。 「・・・・まあいい。俺の筋トレで当てにできるのはおまえだけだ。また明日来る。」 「・・・・。」 ナナが目を見張った。こんな真似をしたのだから生殺与奪を握られているつもりだ。 ヒイロとしては外務次官であろうと無かろうと二言無くリリーナを守ったからそれでいい。短絡的手段等は事情が事情だから別にどうでもいい。 「・・・・。」 本当に変わってしまったのだ。こうして疑心も恐怖も感じなくなっているのは父を戻してくれたからだろうか。 ナナはリリーナを見た。 「ハニーさん。」 往来があるので、この際この呼び方だ。 「ごめん。・・・怖い思いさせて。ごめんなさい。」 頭を下げる。 リリーナはうんと頷いた。そしてにこやかに笑った。 「今度来るときまでに、プールを作っておいてくださいね。」 「え・・・・。・・・ええええ。」 がばっと顔を上げる。 そ・・れは相当の労力が要る。 設備投資も、維持も。 なによりコロニーの人間が水なんかで泳ぐだろうか?。 「おまえは器具は壊すわ、ハニーさんはプール作れだとか。」 ああ、だからか、と思った。 もう奴は工作員じゃないのだ。 奴も考えながら未来を生きているのだ。 俺だってそうだった。ジムを作ったのは自分だ。 「・・・・ああ・・・・もうっ。わかった。それ。」 自分の構想は大きくなるばかりだ。きっと奴もそうなのだ。 そして回れ右する。 ジムの仕事に戻るためだ。 彼の背中に恐怖は無い。 二人はの声援の溜息を彼に贈った。 ヒイロの部屋。 リリーナが食事の後片付けをしている間に、ヒイロはシャワーを浴びた。ルームウェアの半ズボンと黒のタンクトップに着替えて出る。 ベットに腰を降ろし足からダウンを開始した。 足は大したことは無い。蹴りも一回だけで、あとは無重力だったから、それほど筋肉を硬化させなかった。 そこに、リリーナがキッチンからこちらに来て、ダウンをやってみると言うので腕をやってもらいはじめた。 ナナの細腕で出来るものだから彼女にも出来る。 腕を肘裏に挟んでもらって、手首から上腕までスライドする。 「きゅー・・・・・う。」 肩まで来て、引っ張る。そうしてリリーナがヒイロを投げるようにベットに二人で倒れこむ。それで一回だ。 片方ずつ10回。 「じゅー・・・・・。」 もう片方を済ませ、もう片方を行っていた。 これで最後だ。ベットが跳ねた。 最後までやり遂げてくすくすとリリーナが笑った。 なんでも楽しそうだなと思う。 そういう自分も実は楽しい。 ダウンの効果にも現れている。 笑いながらすると大きな呼吸ができるため、体内に酸素を取り込みやすくなる。 肉体の負荷の回復に酸素は必要で、心的負荷の緊張には笑うのが一番だ。 正直7回でも良かったくらいだ。でもナナがいうので10回は厳守した。 リリーナが肩に腕をかけてくる。 ヒイロも抱き込む。 「ヒイロ。大きい・・。」 トレーニングの効果だろう。 あの少年女子は工作員としては三流だが、戦後で生きるにはプロでいられるだろう。 同じことを二人は思う。 「大きい・・それから温かい。」 呟いた。 そしてそっとリリーナはヒイロからすり抜けて、体を起こした。 「・・・・シャワー呼ばれてくるわね。」 「ああ・・。」 珍しくベットに横たわったまま、ヒイロは応答する。 リリーナは着替えを持ってバスルームに入っていった。 「・・・・動かないものだな・・。」 ダウンしろと言われた理由がわかる。 正直そこまで体を動かした気にはなっていなかった。だが頭で考えてるものと実際筋肉で起きていることがどうやら違うのが成長期らしい。 成長期の体は成長を急ぐので、回復を待たず硬化を開始して筋肉疲労を起こす。 だからダウンしろと言ったのだ。 そして今揺り返しが来ている。 「・・・・。」 動かない。 このまま寝てしまおう、と思う途中で瞼がすこんと落ちた。 日系のコロニーなので、湯を張るところがある。 いつもは行水のヒイロだが、今日は浴槽に湯を張ったらしい。 使い勝手ならわかっている。自分も元日本国の領土で育ったので、これが普通だ。 「・・・・。」 浴槽を満たしたしたお湯に身を沈めていると、今日の疲れも流してくれるようだった。 肩まで浸かると浴室の天井を見上げることになる。 「(・・・・辛くはなかった?)」 それを聞くことはしないけれど、あのナナの脅迫状態はヒイロのまた別の姿にも思えた。 ヒイロは本当は大きくなれなかったのだ。 リリーナは浴槽から上がった。 顔と髪を拭いて、体にタオルを巻く。 前回ヒイロの部屋においていったルームウェア。裾のゆるやかな長いズボンとチュニック、肩紐のナイトドレス。 L1コロニーは他のコロニーに比べて四季を作るが、それでも温度差は地球のように25度も無い。このアンサンブルなら一年のいつでも過ごせる。 リリーナはチュニックの袖とボトムの裾を通す。 「・・・・暑い。」 この上に更にナイトドレスは着れない。 まだ8月の末だ。 湯に浸かったのもある。 リリーナはチュニックを脱いで、ナイトドレスを被った。 髪をファンでそれなりに乾かして、バスルームを出る。 部屋に戻ると、ヒイロは眠っていた。 左手は胸に、右手は投げ出して。 やはり普段以上に負荷が掛かる時期なのだ。 リリーナは戸締りをして、ルームライトを落とした。部屋にはベッドサイドの明かりだけが残る。 ヒイロの表情を覗き込むと、少し子供っぽい。いつも大人びているから余計にそう思った。 リリーナはベッドサイドに手をついて、屈んだ。 「ヒイロが大きくなれますように。」 額にキスを送る。 寝る子は育つと言うから、願いを込めて。 覚醒には遠い起き方をしていて、寝るほうを優先させたいなどと思っている。 右の腕にリリーナの薄い茶色の髪が滴るように落ちていく。 湿り気のせいで、まるで蜂蜜のようだ。 「ヒイロが大きくなれますように。」 言って額にキスをくれる。 今日知った事実はきっと彼女を心配させている。 「・・・。」 緩やかにヒイロは薄く目を開けた ベッドの明かりに手を伸ばしているリリーナが見える。 ライトに伸ばされるしなやかな腕。陰影を濃くしたむき出しの肩。 女神にも等しい凄艶な横顔。 ヒイロは右手に滴る髪をつかんで引いた。 この甘い気持ちのまま啜りつくしたい。 傍らの女は丸ごと俺のものだった。 「?。」 後ろ髪を引かれて、リリーナが振り向く。 少しだけ身を起こし、彼女の頤を指先で定める。 唇を重ねた。 腕を伸ばし、素肌の肩に触れていだく。 「・・・。」 だけど、それまで。 そのまま引き寄せて、再び身を横たえた。 リリーナも唇を追いかけて屈んで、そして腕の中に滑り込んでくる。 胸元の肌が触れ合う。 ヒイロはこのリリーナとの甘い関係と柔らかい感触を抱きしめ、身を委ねた。 [09/08/28] ■如月コメント: この間の宇宙での筋力マシーンを見て思いついた話。若田光一さんのねー。 ヒイロ呼び出しは一度やってみたい設定。もう一ネタやるかも。 ロケーションは日比谷公園がイメージ。 リリーナの服は歌のお姉さんの今月の歌の服が元。 かわいいんだっ、これが。 いずれはなすであろうと信じて疑わなかったというエンドレス小説での言葉の言質を取りました。 そのへんいろいろ捏造です。 レミングでもいいけど、あれは設定から外してます。あとがきでこの話の時間軸だと、実際5人が揃うことはないと書かれているので。 ヒイロのシスター姿ってのは、なかなかつぼだったんだけど。 マラソンって笑いながら走るといいらしいですよ。回復が早くなるv マディソン郡の橋もイメージ参照。内容ほんとおぼろげだけど・・。 今月のLEONを買ってしまった。あのイタリア人大好きなので・・。 前もWのために買ったような気がするううう。 高飛車に見えたシーン・・。あれ、高飛車だよ・・・っ。 聖ガブリエル学園のリリーナの隣の席に座ったあとのヒイロの横顔。 小説目次に戻る |