※現代パラレル物です。それを了承する方、読んでくださいです。如月深雪拝※Lost City −18−異界に青龍と太裳が戻った。 東山周辺を見るだけのつもりだったが、予想以上に時間が掛かった。 冥官の仕業であろう行為は多岐に渡り、一つずつ確認していった。 冥官が詳しいことを言い置いていってくれれば、もう少し効率がいい。 だがそれは、当然期待するだけ無駄だった。 太裳達の気配に天后と勾陣、朱雀と天一が現れた。 「青龍。」 天后が青くなって走り寄った。 六合から聞いていたより酷い怪我だった。 「鬼が出たって・・・どういうことなの?。」 「・・・・・・・出やすい環境が整いつつあると言うことでしょう。」 太裳は吐き出すように呟いた。 「冥界からではなく、こちら側の者達が開けている。」 「・・・・。」 「今は青龍を。」 太裳の言葉に天后はこくりと頷いた。 天空が既に治療の用意をしてくれていた。 天一は晴明がくれた符を携えていて、天后とともに施す。 天后は自らの両手を包むように水流の玉を作り、その手を翳し傷に触れる。 毒気を洗い、また自分にその毒が付着しないようにするためだった。 青龍は顔色を変えないが痛みは壮絶なはずだった。 水流の玉の中に回復する薬を投与していく。 治療する作業を勾陣は見るに留めて、安倍の家の現状について一語に集約し報告した。 「騰蛇がすねてて大変だ。」 「・・・・。」 太裳は微笑った。多少苦笑が混じる。 その様が見えるようだった。 「俺ならこうはならなかったと思っているだろうさ。」 青龍にとって今一番聞きたくない名だった。 「・・まあ当たらずしも遠からずというところだな。」 勾陣は同じ目的を達しても、お互いの歩み寄りが全く無いことに、一つ溜息をついたのだった。 二日目の行動は個々ばらばらになるため、昌浩と六合と青龍の分の礼服を入れた大きなトランクは猫便に。 出雲に行く六合とはホテルで分かれ、自分達はそのまま二条城へ繰り出した。 梅の名残と、枝垂桜。ソメイヨシノは今日が開花というところだろう。 「あ、車之輔。」 堀の柳の影に隠れているつもりの車之輔がいた。 「来てくれたんだ。・・・ごめんな、呼べなくて。」 大きな顔を横に振った。 「でも本当に何かあったら、車之輔が頼りだから、元気にしていてくれよ。」 気の優しい妖はこくこくと頷くのだ。 昨日まで来ていた雑鬼達とは違い、遠慮がちなこの妖は滅多に自分の思いを主張しない。 それでも今日、朝更かししてまで来たのは、昨日のことがよっぽどショックだったのだろう。 傷つかれてほしくなかった。 ずっと昔から安倍の助けになってくれる大事な友人だった。 彰子もそっとその大きな顔の角を撫でる。 これ以上ないくらい車之輔の顔が嬉しさで緩んだ。 ほっと昌浩はその光景を眺める。 そこに囁く声があった。 俺達、野暮じゃ無かっただろ 「それ、いつも、そうだとありがたいんだけどね。・・・・・え。ってことは。・・っていうか。」 聞こえた声がだいぶ近い。それも真上。 いろいろ気がついたときには遅かった。 どさどさどさ。 「きゃっ。」 昌浩が倒れてくる。彰子は受け止めた。 重さは雑鬼達の分はしれていて昌浩一人分だ。だがちょっと勢いがあった。 車之輔がその顔を押し上げて彰子を支えた。 うまいこと昌浩を押し潰した雑鬼数十名。歓声が上がる。 「やったあっ。じゃーなー、ばいばーい。」 「バッ・・・。」 バイバイとかいうなっ・・日本の妖がっ。 昌浩は呻く。いろいろ気がついた。 雑鬼達は夜ホテルにも来なかったのだ。気をきかせて。 一斉に引いていって昌浩は体から力を抜いた。 「大丈夫?。」 「・・平気。ごめん。彰子」 「うん。」 ちょっと顔を赤くなる。思ったより重さがあるからだ。 押し返して昌浩を立たせる。手伝ってくれた車之輔にもう一度触れる。 「車之輔、ありがと。」 いえいえと轅を振った。 車之輔は一礼したら、隠形した。 こっそりとねぐらの戻り橋に戻っていく。 二人は柳の影から出た。 「あ、そうだ。貴船は?。貴船の神様が教えてくれた・・・のよね?。」 昌浩の肩がぎくりと動く。 彰子の核心を突いた呟きは今最大の頭痛の種であった。 「・・・・・・さすがに出掛けていったら、新幹線に間に合わないので、改めてきちんと伺うことにします。伺わさせていただきます。」 「誰に言ってるの?。」 「・・・諸々の神様。」 比古に呟いたように応える。 昌浩は彰子に手を差し出した。 「行こう。大丈夫だよ。」 「うん。」 笑顔でついていく。 その先に神様の怒りがあるとしても、ついていく。 変わらずに笑いながら、ついていこう。 [08/8/20] #小路Novelに戻る# #Back# #Next# −Comment− 帰省しますのでしばらく更新ありません。・・たぶん。あれば拍手の方で。 今年は暑いというけれど、そうかな。部屋が33度までしかいかなかった。 35度以上になったら冷房を入れるので、まだ、部屋に冷房を入れていない。 台所は料理すると蒸してくるのでさすがに冷房を入れますが、ほんと料理の時だけだなぁ。 30度なんて涼しいよ。 木曽御嶽山> ブログの写真じゃ、おこちゃま連れての楽な登山に見えるかもしれない・・。 それもそのはず、そういうふうに見せないと母親にいらん心配をかけてしまう。 久々に、途中で引き返したくなりました。足が上がらない。酸欠になる。シャリバテする。 一度酷使した体(大学時代)は、たまには酷使しないと体がなまるとはいえ、相当辛かった。 しかもおこちゃまがいるせいで辛いのが見せられん。 伊勢に行く逢坂山ののぼりってこんなかしら、でも雨降ってないからまだマシかしらとか、 考えながら登っている辺り現実逃避してました。(どこらへんオタクなんだろう) でもすばらしき登山でした。 子供に、体操とか水泳とか今から慣わそうとは微塵にも思わないけれど、 耐熱耐暑訓練とか言って、大阪の夏の公園を駅からおんぶで歩いてみるとかしてみる。 持久力と根性と図太い神経と耐熱。山登りには必要なもの。 それをクリアして知恵熱も過労熱も出さずに元気いっぱいのおこちゃま。 母をからかう余裕あり。 なんか子供ってすごいかも・・。 |