I MISS YOU.




「シェーラさんと朝、何話してたの?。」
「意外なんだとさ。俺達が教会行ってるの。」
「まー、かもね。俺だってまだ違和感あるし。」
 でも、土地の人は全然そうは思ってはいない。ごく普通の、あたりまえの行為だ。
「あと、おまえが歳をとらなくなったことも聞かれた。」
「・・・。やっぱ、ばれてるか。」
 深々と勇吹は溜息をついた。
 シェーラとユーハをマラガまで送り届けて、車は海岸線を右手に走っていく。
 開け放った窓に肘をついて勇吹は海を眺めた。
 カルノはハンドルを取りながらサングラス越しに勇吹の様子を伺った。
「なんでかなぁ。俺は真っ当に生きたいだけなんだけどな。」
「・・・。」
 勇吹のもうじきの誕生日で2つ離れることになる。
 また・・・一人大きくなっていく。
 カルノは、海の見える突き出た路肩に車を止めた。運転してると満足に顔見て話せやしない。
「・・・。」
 進行方向とは逆に海が運転席側に見えるように止めたので、シートベルトをしていなかった勇吹がフレームに頭をぶつけて痛がっていた。
「もう。・・・。」
 カルノはそっぽ向いて海を眺める。勇吹は車を降りて、運転席のドアを開け放ってそこに寄りかかった。
 真夏の海は蒼かった。空も。そして強い陽射と風。
 勇吹が沈黙を破って呟いた。
「俺はおまえなしでは生きていけないから・・・・・、おまえが死ぬなら、俺も死ぬからいいんだ。」
「・・・。」
 それは彼女と比べて、唯一違うことだった。
 ・・・・・・振り返る勇吹が陽射の眩しさで逆光になるから、手をつかみ運転席に引き入れる。
「俺は生きていてほしい。」
 呟いても勇吹は首を横に振った。
「最期には、俺を。」
 真摯に伝える思い。
 食べてほしい。
 ・・・・カルノは、あきらめて勇吹の額に自分の額をこつんとぶつける。
「・・うん、いいよ・・・ずっとおまえは俺の傍にいるんだ。」



 同じだけの時間を過ごそう。
 過ごせるものならば。