終末







 何年も前から・・彗星が火星の外側、小惑星帯にて消滅することまでは予測されていた。
 が、彗星の勢いは止まらなかった。
 その核をこなごなにしながらも、飛び続けた。
 それでも、ほとんどが次の火星に引力に引かれて落下してしまうだろうと問題にされていなかった。

 確かに、ほとんどは火星に落ちた。

 だが、
 直径3km以上もある隕石が9つ、地球の引力に捕らえられていた。
 3kmあれば100kmに達するクレーターを作る衝撃がある。
 又、恐竜を滅ぼしたとされている隕石はおよそ10kmあったと言われている。

 始め、公表はされなかった。

 だが隕石は日を追うごとに大きくなり、肉眼で確認できるまでになった。
 5月、世論に押され、宇宙事業団から正式な発表があった。


 1999年7月――――九連隕石の落下

 世界各国は震撼した。


 アンゴルモアの大王が降ってくる。
 人々は世界の終末を意識した。

 祈る者、投げやりになる者
 ・・・・・信じる者。


 そして、立ち向かう者。
 カルノと勇吹は春先に予見し、準備を整えた。
 神聖騎士団本部を基地とすることをアンヌが了承し、協力。世界に能力者が散らばった。
 彼らの役目は地上の保持。結界を人知れず結ぶ。
 そして五万メートルを高度限界として、カルノの誘導により、勇吹が隕石の破壊に臨む。
 既に隕石落下予測地点は計算されていた。


 そして、九連隕石が落下した。




 ひと、ふた、北米、太平洋に

 み、よ、いつ、アジアに、

 む、なな、インド洋に、
 
 や、

 予測地点アフリカ中部を外して、高度一万メートルを切り、南大西洋に着水寸前で破壊。
 この時点で、敷島勇吹が破壊の余波を受けた。
 しかし、カルノが勇吹の移し身を自らに・・・そして、その移し身をアミィはカルノに知られずに、自らにかけていた。
 トカゲ姿に戻ったアミィはいつものように事務的に・・・なのに酷く優しく。
 人の身は・・・脆弱だからと。
 ナギは、勇吹の手から傷ついたアミィを取り上げた。
「こいつは私とレヴィに任せて、行け。」
「カルノ、次の地点は、再び北米・・・マンハッタン。」
 レヴィの言葉に頷いて、
 彼の誘導により、カルノは全ての感覚をオープンにした。
 どんな集積回路より、確実に隕石落下点を見つけ出す。




 ここのたり。
 マンハッタン上空に閃光が走った。最後の隕石が神霊眼によってエーテルに分解される。













 エーテルの光の雨がマンハッタンに降る。


 人々は光の中心にいる者に気づいた。
 カメラも、回っていた・・・・。






 そして世界は認知する。
 語られる名は違えど、
 終末に現れる者の存在を。







「カルノっ。」
 世界の歓喜が、波動が
 全世界に開かれたカルノの精神を破壊した。